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仕様が決まっていなくても進められる開発とは?アジャイル型進行の考え方

Webサービスやプロダクト開発では、「仕様が決まってから始めるべき」という考え方が今も根強くあります。しかし実際は、最初から仕様が固まるケースの方が少ないのではないでしょうか。特にスタートアップやWeb事業会社では、市場検証やユーザーフィードバックを前提にするため、仕様を固めきらないまま開発を始める場面が多くなります。

本記事では、仕様が決まっていなくても進められる開発の考え方と、その代表例であるアジャイル型進行について整理します仕様が未確定でも、「進め方」をきちんと設計すれば開発は十分成立します。

👉 この記事で学べるポイント:

  • 仕様未確定でも成立する開発の考え方。

  • アジャイル型進行の基本とメリット​

  • 失敗を防ぐための判断ポイント


INDEX

なぜWeb開発は仕様が決まらないまま始まるのか


Web開発の初期フェーズでは、プロダクトのゴールや機能の優先順位がまだ仮の状態なので、完璧な要件を定義するのは現実的ではありません。​
そのため「仕様が決まらない」のは異常ではなく、変化の速い環境では自然な状態だといえます。
仕様が決まらないこと自体を問題視するより、「変化を前提にどう進めるか」を設計する発想が重要です。


市場やユーザーの反応を見ながら決めたい

最初から細かい仕様を決めても、ユーザーの実際の使い方や反応によって方針が変わるため、「出してみてから考えたい」というニーズが強くなります。


ビジネスモデル自体が仮説段階

収益モデルやKPIが試行錯誤中の場合、プロダクト仕様もそれに合わせて変化せざるを得ません。​


初期フェーズでは情報が揃わない

ターゲット・競合・技術制約など、検証してみないと分からない情報が多く、憶測だけで決定しきれません。


競合・環境変化が早い

リリースまでの数カ月で前提条件が変わることも珍しくなく、あえて仕様を固定しすぎない方が合理的な場合もあります。​



仕様が決まらない状態で起きやすい失敗とは

仕様未確定のまま何となく開発を進めると、「変化への柔軟性」ではなく「ただの場当たり対応」に陥りがちです。​

その結果、プロジェクト全体のコントロールが効かなくなり、関係者の不信感や疲弊につながります(過去に公開した「外注する前に知るべきWebサービス開発の成功ポイント【スタートアップ向け】」とも共通する話題なので、あわせて読んでただくと、より理解しやすいです)。


途中で方向性がブレる

ゴールやKPIが曖昧なまま仕様を足し引きしていくと、「何のための開発か」が見えにくくなり、優先順位もブレます。​


認識ズレが積み重なる

口頭ベースの合意や、その場しのぎの仕様変更が続くと、発注側と開発側で「できると思っていたもの」と「実装されるもの」が乖離していきます。​


スケジュール・コストが膨らむ

追加・変更が都度発生しても管理されないと、見積もり前提が崩れ、納期遅延や予算オーバーの原因になります。​


開発側と発注側で責任範囲が曖昧になる

どこまでが追加対応なのか、誰が何を決めるのかが不明確なまま進むと、トラブル時に責任の押し付け合いが起こりやすくなります。



仕様未確定でも進められる開発の考え方


仕様が固まらない状況でも、進め方の前提を共有できていれば、学びを得ながら前に進める開発は成立します。​

ポイントは、「仕様を決めきること」ではなく、「仮説→検証→学習→次の一手」という循環を前提に設計することです。​検証しながら前に進めるプロセスを、チーム全体で留意しましょう。


完成形ではなく「仮説」を作る

「こうすればこの指標が伸びるはず」という仮説を言語化し、それを検証するための機能・画面を定義します。​


小さく作って検証する

最初からフル機能を作らず、インパクトの大きい部分から小さく出し、実データを見ながら次を決めていきます。​


変更を前提に設計する

仕様変更が前提であれば、設計・実装も「変えやすさ」を意識した構造にし、契約やスケジュールにも変更の余地を組み込みます。​


学習コストを前提にスケジュールを組む

実装時間だけでなく、検証・学習・意思決定にかかる時間も含めて計画することで、「考える時間」が不足したまま進む事態を避けられます。​



開発しながら仕様を決めていく「アジャイル型進行」の基本的な進め方


アジャイル型進行は、「短いサイクルで作る→試す→学ぶ」を繰り返しながら、仕様を一緒に育てていく開発スタイルです。​仕様未確定な状態と相性が良く、検証フェーズのリスクを抑えつつスピード感を維持できます。

​詳細な進め方や並走のイメージは、過去記事の「並走型アジャイル開発のメリット|スタートアップの成功事例」「要件変更に強い!並走型アジャイル開発の導入チェックリスト10項目」と組み合わせると、さらに理解しやすくなります。​


短いスプリントで開発・検証を繰り返す

1〜2週間などの短い期間(スプリント)ごとに、やることを決めて開発し、その成果をレビューして次の方針を更新します。​


定期的なレビュー・振り返り

スプリントの終わりに「何ができたか」「何が分かったか」を共有し、プロセスと仕様の両方を改善していきます。​


優先順位を都度見直す

その時点での学びや事業状況に応じてバックログの優先順位を更新し、「今もっとも価値の高い開発」に集中します。​

★ウォーターフォールとの違いとしては、次のような軸で整理できます。​


仕様固定 vs 仕様可変

ウォーターフォールは事前に仕様を固めてから実装に入るのに対し、アジャイルは仕様変更を前提に進めます。​


完成後評価 vs 開発中評価

ウォーターフォールではリリース後に初めて実物を評価するのに対し、アジャイルではスプリントごとにプロトタイプや機能を触りながら評価します。​



仕様未確定開発が向いているケース・向いていないケース


すべての案件にアジャイル型・仕様未確定前提の進め方が合うわけではなく、プロジェクトの性質によって向き・不向きがあります。​

ここを見極めずに「とりあえずアジャイルで」と始めると、かえって混乱を招くこともあります。​「事業フェーズ」「リスク許容度」「求められる確実性」などの要素から、向き・不向きを判断することが大切です。​



向いているケース


新規事業・スタートアップ

事業モデルやKPIが変化しやすく、検証とピボットを前提にした開発が求められます。


MVP開発

最小限の機能で市場の反応を確かめたいフェーズでは、小さく作って早く出すことが重要です。​


UI/UX改善・改善系プロジェクト

ユーザーテストやABテストを回しながら、体験を継続的に磨いていくタイプの案件では、アジャイル型・仕様未確定前提の進め方が適切です。



向いていないケース


業務要件が厳密に決まっている

業務フローとの整合性や既存システム連携が厳格に求められる場合は、仕様のブレがそのまま業務リスクになります。​


法規制・要件固定が前提のシステム

金融・医療など、法令ベースで要件が定義されている領域では、アドホックな仕様変更が許されない場面も多いです。​


スケジュール厳守が最優先の案件

「この日までにこの範囲を必ずリリースする」が絶対条件の場合、スコープを固定するウォーターフォールとの相性が良いケースもあります。​


仕様未確定開発チェックリスト(10項目)

 

【 ✅ 仕様未確定開発チェックリスト 】
① 仮説検証を前提にしているか?
② MVPで検証する範囲を決めているか?
③ 優先順位を柔軟に変更できる体制か?​
④ 定期的なレビュー・振り返りができるか?​
⑤ 意思決定者が明確か?
⑥ 変更を前提にしたスケジュールか?​
⑦ 開発パートナーと並走する姿勢があるか?
⑧ 要件の粒度と整理方法が決まっているか?
⑨ コミュニケーション頻度とチャネルが決まっているか?
⑩ 成果物とゴールイメージが共有されているか?

仕様未確定の状態で開発を成功させるためには、事前に上記の10項目を整理しておくとスムーズです。各項目について、解説していきます。

※こちらのチェックリストは、コピーして内容をご調整いただくことで案件ごとの最終確認にお使いいただけます。ぜひご活用ください。

① 仮説検証を前提にしているか?​


「何を検証したいのか」「どの指標で成功とみなすのか」を、関係者が共通の言葉で説明できる状態になっているかを確認することが大切です。


② MVPで検証する範囲を決めているか?


初回リリースで必ず実装する部分と後から追加する部分について、優先度と対象範囲を具体的に決めておくことが、効率的な開発につながります。​


③ 優先順位を柔軟に変更できる体制か?


バックログの優先順位を見直す場(定例ミーティングなど)が用意されており、状況に応じてスムーズに入れ替えができる体制になっているかを確認します。​


④ 定期的なレビュー・振り返りができるか?


各スプリントごとに成果物と学びを共有し、次の方針や改善点を話し合うレビューの時間が、あらかじめスケジュールに組み込まれているかが重要です。​


⑤ 意思決定者が明確か?​


仕様変更や優先順位の最終判断を誰が行うのかについて、役割と権限がチーム全体に分かりやすく共有されているかを確認する必要があります。​


⑥ 変更を前提にしたスケジュールか?


絶対に動かせないマイルストンと、状況に応じて調整できるタスクの区別がスケジュール上で明確になっているかをチェックすることが大切です。​


⑦ 開発パートナーと並走する姿勢があるか?


発注側も定例やレビューに参加し、判断や優先順位付けに継続的に関わる前提になっているかどうかを、期待値合わせの段階で確認しておくことが望ましいです。​​


⑧ 要件の粒度と整理方法が決まっているか?


ユーザーストーリーやチケットの書き方・分解の粒度について、チーム内でおおよそのルールが共有されており、誰が見ても理解しやすい形になっているかがポイントです。​

 

⑨ コミュニケーション頻度とチャネルが決まっているか?


どのツールを使い、どの頻度で情報共有や相談を行うのかについて、事前に合意し明文化しておくことで、認識ズレや伝達漏れを防ぎやすくなります。

⑩ 成果物とゴールイメージが共有されているか?


各スプリントやMVP終了時点で「何ができている状態を目指すのか」というゴールイメージを、発注側・開発側が同じ絵で描けているかを確認することが重要です。


まとめ|仕様が決まらなくても進められる理由

👉仕様未確定は「失敗の原因」ではない
👉進め方を設計すれば成立する
👉アジャイル型進行は検証フェーズと相性が良い
👉重要なのは「決めきること」ではなく「学び続けること」


よくある質問

仕様が決まっていない状態でも、見積もりはできる?
固定金額ではなく、期間や工数ベースの見積もりが一般的です。スプリント単位の予算枠と、定期的なスコープ調整のルールを決めておくと、双方の納得感を保ちやすくなります。​
途中で大きく方向転換しても問題ない?
アジャイル型であれば、方向転換を前提に進められます。ただし「なぜ変えるのか」「何をやめるのか」を整理し、影響範囲と優先順位を開発側と共有することが重要です。​
発注側に求められる役割は?
判断と優先順位付けに関わる姿勢が求められます。要件の細部を決めるより、「どの仮説を優先して検証するか」を一緒に考える役割を担うことで、開発パートナーの力を引き出しやすくなります。​

仕様が決まっていない開発でお悩みの方へ

「要件が固まっていないまま進めてよいのか不安」「アジャイルで進めたいが具体的な進め方が見えない」。そんな仕様未確定の開発に関するご相談を受け付けています。仮説検証前提の進め方や並走型アジャイルの進行イメージを、一緒に整理したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。




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